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2003年12月 1日

映画の中で日本人以外の人種が日本語を喋るとき感じるずれ

KILL BILL vol.1を観ました。今回の映画館では二人組のオタクが隣に座りました。いわゆるザ・オタクです。小太りでチェックのシャツを着て、早口でした。彼らはチョコレートを食べと甘いにおいのするジュースを飲みながら、いちいち細かくスクリーンにつっこみを入れていました。どうでもいい感想をその場で必死に伝達しあっていました。お前らには必要かも知れないが、そもそもそのつっこみとか感想はただの状況説明にしかすぎないんだよ、と思いました。思っただけで、注意できませんでした。そんな自分にがっかりです。彼らが小さい声だったとはいえ、激しく不快でした。前回のビール&さきいかでは肉体的に不快でしたが、今回は精神的に不快でした。どうにかならないもんでしょうか、日本の映画館のマナーは。演劇を観るときは飲食禁止、私語は白い目で見られるのに、どうして映画館では自分の家と同じような行動をとるのでしょう。己の欲望の赴くままに観たいのなら、ビデオ・DVDになってから家で観ればいいのに。
で、KILL BILLですが、多くの人たちの感想で、ユマ・サーマンとルーシー・リューの日本語が気分をそらすとか、無理矢理日本語を喋らないで全て英語にすればいいという声があります。僕も最初はそう感じましたが、いやいやちょっと待てよ、それは違うぞと思いました。設定上、ユマ・サーマンは日本語を勉強してきていて、ルーシー・リューは中国系アメリカ人です。お互い英語が話せるから英語で話せばいいのですが、オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)はバイリンガルです。日本にいて日本語を話すから日常では頭の中が日本語になっていて、相手が英語を主に話す人であっても、日本語で喋ってしまうという脳の状態になっているのでしょう。なので、あの二人のぎくしゃくした日本語のやりとりはあれでOKです。下手な日本語は女優としてのルーシー・リューの練習不足です。無理矢理理由をつけているようですが、そうではありません。
ただしここで、日本人がKILL BILLを観たとき感じる日本語のずれを滑稽だとか果ては不愉快だとか、そんな言葉で片づけてしまうのは危険です。そのずれが滑稽・不愉快なのならば、日本語歌詞の歌の中で突然英語の歌詞が出てくるのも滑稽・不愉快なはずです。でも英語の歌詞を言葉ではなく音としてとらえているから、滑稽でもないし不愉快でもありません。では逆に英語圏の人たちがその日本語歌詞の歌を聴いたときはどうでしょう。日本語の歌詞は音としてとらえるはずですし、急に英語の歌詞がでてきたときには日本人がKILL BILLを観たとき感じた言葉のずれを感じるでしょう。英語がプリントされているTシャツを日本人は何のためらいもなく着ていますが、よーく読むとおかしな英語が書いてあるなんてこともあります。「原宿」「東京タワー」なんて書いてあるTシャツを着ている外国人を見るとなんだか恥ずかしくなってしまうのと同じです。
言葉のずれが引き起こす滑稽さ・不愉快さは日本人自身にも当てはまります。なので笑えない状況なのに笑ってしまうのは、言語に対する意識があまりに低いと僕は思います。ずれが笑いを引き起こしますが、この場合は自国の言語に対する意識の低さを露呈するだけです。
ユマ・サーマンとルーシー・リューが日本語を喋るたびに館内で何度もくすくすと笑いが起きていました。お前が着ている不可解な英語のプリントTシャツもそうやって笑われているんだぜと思うと、ちょっとだけ悲しくなりました。

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Categories | 映画
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